なないろ日記 ~りんごの国から~ 

読書・折り紙・エコたわし作り・靴下わっか指編み・お絵かき・展覧会 あれもこれもと、七色にコロコロと襲い来る趣味との戦いの壮絶な記録!!

『世界の果てのこどもたち』中脇初枝著 読了

 本屋大賞ノミネート作品

nike9350.hatenablog.com

4月12日までの私は「本屋大賞ノミネート10作品」読破に向かって日々邁進している。


今回読了したのは、『世界の果てのこどもたち』中脇初枝著で5作品目だ。

2016年度の本屋大賞ノミネート作品が一風変わったチョイスで、本好き仲間から本屋大賞離れが続出している声がチラホラ・・・

書店員が売りたいって、いったいどんな本?
と、読みたい本・優れた本・話題の本とは少し違う、書店員の思いとは・・・

知らなければならない物語がここにある

まずは、この作品がノミネートされた事に感謝したい。
出会えて良かったと心から手を合わせて感謝するほどの、人生観すら変えてしまう物語だった。

 

本屋大賞もまだまだ捨てたもんじゃない!

 

これ、ノミネート作品でなければ絶対に読む機会を逃してしまっただろう。
本当に、ありがとう。

あらすじ

戦時中、日本の統治化にあった満州へ渡った開拓団がいた。
貧しい高知県の千畑村から夢を抱いてた親に連れられて移住してきた珠子
朝鮮から来た美子(ミジャ)。

横浜の恵まれた家庭から一時的に満州へやってきた茉莉

三人の幼い娘たちが、ほんの短い間に人生の一瞬を共に過ごして、離れ離れとなって過酷な戦時中を生き抜く。

珠子は貧しい中国人夫婦に買われ中国残留孤児となり、美子は在日として日本で苦労をしながら生きていた。裕福なお嬢様育ちの茉莉は、空襲で全てを失い戦災孤児となる。

 

中国残留孤児

在日朝鮮人

戦災孤児

 

一つのおにぎりを分け合って食べた三人の少女が、何も知らなかったあの頃から様々な現実を突きつけられ別々の人生を歩むこととなった物語。

 

読了するための難関が最初にやってくる。

三人が出会う満州でのシーンだけど、高知の独特の方言が本当に難しくて読むのが困難だった。

三人が誰が誰?といった状況を理解するのにも少し時間がかかってイライラ・・・


ここで、読むスピードが断然遅くなって、最後まで読了せずに本を閉じようかと思ったくらいだ。
ところが高知の方言を主に使っていた珠子が残留孤児となって日本語を忘れたあたりから、方言ブレーキが解除され読むスピードが断然あがってきた。
最初のこの難関方言ブレーキな山場さえ堪えたらその先は一気に駆け下りていける作品だ。

中国残留孤児

もう、今から随分前のことだ。私が小学生くらいの35年~40年前に、新聞で中国残留孤児に顔写真や、当時の記憶を辿った情報が掲載され、テレビでは、誰誰が日本人の〇〇さんとわかりました!と生き別れになった両親や兄弟と抱き合う画像が記憶に深く残っていた。

実は、もうすっかりそんな事を忘れて平成を生きてきた私は、タイムスリップしてあの時代に思いを馳せることとなる。

日本に戻ってきた時には、中国人と結婚をして子どもを連れての帰国。母国語もうまく話せない中国残留孤児たちの苦労はいかほどだったか・・・

この小説でも、中国残留孤児となるまで、その後の苦難の道がくっきりと目の前に立ちはだかり、やるせなさと悲しみで胸が締め付けられた。

特に、珠子の夫・徳林の彼女を思う気持ちに涙が止まらなかった。

在日朝鮮人

もう少し、私たちは在日朝鮮人の事を知らなければならないと思う。
この小説を読んで、人生観が確かに大きく変わっていくのをページをめくるたびに感じていた。
在日朝鮮人北韓・朝鮮と生きる道が大きく三つに分かれていた。


歴史を語る時に、とかく日本人が悪い事をしたからだとか、靖国参拝がどうだとか、英霊と犬死だとか・・・

様々な情報が錯綜する世の中で、私が知りたい感じたい大切なこと、「差別」が生まれ循環する縮図がこの本に書いてあった。

戦災孤児

戦争はすべてを奪う。幸せだった家族の貧しい食卓も一瞬で奪ってしまった。
そして、人は自分や大切な者を守りながら生きていくために善悪の基準を変えざるを得ない。

戦災を経験した孤児は、その悲惨な光景や悲しい別れによって、自分が幸せになる事を望まずに生きている者がどんなにも多かったことだろうか。

教科書には書いてない大切な話がここにある

この作品を知らない大勢の日本人に読んで欲しい。
戦争は嫌だ。そんなことは、誰だって嫌に決まっている。

この物語は、そんなもっともな平和を叫ぶ話じゃない。
私たちが知らなければならない、大切な何かを三人の少女の人生に凝縮させ
誰にでも伝わるように中脇さんが世に送り出してくれた。

 

本屋さんが読んで欲しいとノミネートした作品に、『世界の果てのこどもたち』が入っていたことに心から感謝したい。

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