なないろ日記 ~りんごの国から~ 

読書・折り紙・エコたわし作り・お絵かき・展覧会 あれもこれもと、七色にコロコロと襲い来る趣味との戦いの壮絶な記録!!

『奥様はクレイジーフルーツ』柚木麻子さん著 読了

セックスレスですが、どうしましょう?

『奥様はクレイジーフルーツ柚木麻子著P243

ばか莫迦と書く作家、柚木麻子さんの路線変えたよね?びっくりだよ?な作品に面食らう。

レス歴三年の初美の悶々とする日常に振り回された私は、途中で本を床に叩き付けたい衝動を必死に我慢して読了。

女の独り相撲劇へようこそ

世の中では、「エロ可愛い」だとか、「エロカッコいい」って言葉があるけど、初美は私にとって「エロうざい」で、「エロ莫迦」なのだ。

主人公の初美は結婚3年目で30歳。レスになって4か月経過。夫の啓介は初美を子どものように「はちゅ」と呼ぶ愛妻家。仕事が激務だとかって理由で夜の夫婦生活は、その気になれない様子だ。

初美の欲求不満具合がエロ面白く描かれ、目次にある様々のフルーツをお題にしてエロチックに進んでいく。さあ、どうなる?レスは解消されるのか?

読者は、夫婦のレスの理由や、その後は円満解決?と期待しながらエロ莫迦な初美に付き合っていくのだが、柚木麻子さんもなかなかの悪でそう簡単にスッキリさせてはくれない。

まるで、初美の独り相撲に付き合わされていることに気が付いてしまった。そして、早く夫を押し倒してくれよ!と手に汗握って応援し始めてしまう。

『奥様はクレイジーフルーツ』の見どころは、大学時代の友人男性(羽生ちゃん)とのお互いのセックスレス相談だ。

性的欲求不満から、あわよくば浮気か?って寸前までガンガン行くんだけど、手のひら返して戻ってくるばっかりでスカッとしない!

 

言っちゃ悪いが、お願いだからもうヤッてくんないかな!(誰でもいいから)って何度思ったか。

 

読者を投げやりにさせるくらい、本当にどうでもいいわもうってなった辺りでふと気が付いた。

 

セックスレスって心が離れてるからじゃない原因に気が付けって言ってる?
例えば、相手を本当に信頼して愛しているからこそ「家族」って姿がしっかり輪郭を表し、性的な対象に思えなくなる。つながりは強いから、いくら欲求不満だといえど、浮気には踏み込めない。でも、見る物すべてに欲情してしまう初美を他人事とは思えなくなるのは、なぜだろう?

 

すればいいというものではない。

 

しかし

 

しないならそれでいいよって言えますか?

 

だって、夫婦じゃん。

 

心に秘めてる夫婦のレス物語。貴女にとって、他人事ですか?

 

 

セックスレスの未来を描いた作品では、『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田紗耶香さんの『消滅世界』がある。この初美と啓介は、この消滅世界のサブキャラに登場させて消滅しないように救ってほしい。

 

 柚木麻子さんといったら、女性の隠しきれない黒い系の生態を鋭く抉ってくる。

 

 


セックスレスがつなぐ仲ってのも、これから流行するかもね。

セックスレス集会とか、セックスレス講座や、セックスレス祭り・・・
考えただけでもイラッとするわ。(じゃ、考えるなよっ!)

 

新しいレス本としては多いに評価したいけど、初美の「独り相撲」にイラッとしたから残念賞ってとこかな。