なないろ日記 ~りんごの国から~ 

読書・折り紙・エコたわし作り・お絵かき・展覧会 あれもこれもと、七色にコロコロと襲い来る趣味との戦いの壮絶な記録!!

2016元旦に 『母と暮らせば』を鑑賞

元旦は映画に初詣

「母と暮らせば」(吉永小百合二宮和也 監督:山田洋次 音楽:坂本龍一

hahatokuraseba.jp

戦後70年の今、風化させてはいけない悲惨な歴史に触れては考え振り返っては前を向く。そんな私だけれど、この映画もまた戦争をきっかけに『現代』を生きる自分へのメッセージは何か?を問われた思いで独り鑑賞した。
(末っ子は夫と妖怪ウォッチで、12歳娘はOrangeと3作品を家族で別々に堪能)

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吉永小百合さん演じる福原伸子は、1948年8月9日の11:04長崎に投下された原爆によって最愛の息子:浩二を一瞬にして失ってしまう。それ以前に、夫や長男も戦死しているのだが、原爆というのは一瞬の出来事でなかなか諦めがつかずに、どこかで生きているのでは?という思いを抱えて生きてきた。
浩二(二宮和也)と恋仲であった町子(黒木華)も、そんな伸子と共に思いを分かち合い助け合い、手を取り戦後を生きてきた。
そろそろ、諦めなきゃと思った途端に、伸子の元に亡霊となって息子の浩二が現れた。

戦争で生き残った人は、幸せになってはいけない・・・そんな思いに囚われ、ひっそりと亡くなった大切な人を胸にしまって生きている。

そんな、切ないけど日本人らしい慎ましさに触れた映画だった。


伸子の自宅は流しがタイル張りに裸電球のランプシェードや木製の家具に火鉢など、今はやりの古民家カフェ風なインテリアに癒された。醤油も瓶から瓶へと移し替えて使っていたり、今のように便利で使い捨てな容器とは無縁だけど、そこにどうしても意識が向いてしまう私は、貧しい生活には物を大切にする豊かな心が宿っているんだ!と羨ましくも学ぶ点が多くて気持ちが引き締まった思いで台所に見入っていた。(映画の醍醐味には、その時代のインテリアやファッションなどがあるものだ)

印象に残ったシーン

☆とにかく、福原家の入口の扉の建付けが悪くて開けるにはちょっとしたコツがいる。
通い慣れた町子は、コツを知ってるからスルーと開けて入ってきてしまうけれど、闇物資を運ぶ上海のおじさん(伸子に気がある)は、なかなか開ける事が出来ない。(笑)
そんな演出も、伸子が気持ちを開いているか否かを表現しているようだった。

☆原爆から3年後、伸子と町子が浩二の墓参りに行く。伸子の切れそうになった下駄の鼻緒を町子が作り変えて直してあげるシーンでは、そっとハンカチを地面に敷いてあげる町子。自然にそこへ足を乗せる伸子。この二人の3年間の歩みで築いた信頼関係がこのシーンで見て取れる。

☆町子が当時貴重だった産みたての鶏卵を手に3つそっと乗せて福原家にやってくる。卵ご飯を妄想して「今にも涎が出そうだ」と語る町子のセリフが秀逸で帰宅したら元旦早々卵がけご飯食べたい!と思わせるほどだった。小豆を貰ってきた時には、伸子が「小豆をゆでて砂糖を入れたお汁粉を食べたらもう死んでもいい!」(←正しい台詞は忘れてしまったが)と喜びを表現していた。まるで中島京子著の「小さなおうち」を彷彿させる、貧しいけれど美味しそうに食べ物を表現する演出がとても憎いな~と、幸せとはそうあるものだ!と唸った場面でもある。

父と暮らせば

同じく井上ひさしさん原作でこの作品と並ぶように、『父と暮らせば』がある。こちらは、場面が広島であり、亡霊として表れるのは、息子ではなく父親で、残されたのも母親ではなく娘である。
こちらの著書を昨年手に取り、夏になるたびに再読しようと大切にしてる一冊である。

 

私のキャッチしたメッセージ

地震津波は仕方ない・・・運命だって言葉で片づけていい。
だけど、戦争は運命じゃない。人災だ。人がやってる事だから、人がやらなきゃいいだけだ。戦争は、生き残った人の心に多くの傷跡を残していく。


慎ましく、ただひっそりと生きていきたいだけだったのに、誰かの幸せが羨ましく思えてしまう。同じようにひっそりと生きている時には生まれない感情だったのになぜ?
人の心に、そんな小さな鬼が住んでいる。人より秀でたり幸せになったりと感じた時には、周囲を見渡し心配りと気遣いが大切なのかもしれない。
同じ傷を舐めあっている時には、決して生まれない鋭い感情がいつ我が身に起きるかわからないものだ。どっちの立場にもなり得るだろうから、日ごろから心しておかねば。

初詣に平和を祈る

映画を鑑賞した後には、善光寺に初詣。暖冬なので雪はなし。

家内安全、世界平和。

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昨年から話題で食べてみたかった善光寺参道にある平五郎のクレミア
お値段(514円)が可愛くないけど、立ち姿はお姫様のように気品があって素敵。
家族4人で1つを仲良く食べました。生クリームが濃厚で取り合って食べると、ラングドシャのカップが割れそうだから静かに激しく争奪戦を繰り広げ、娘2人にほぼ食べられちゃったわ。💦
ラングドシャって、ケーキ作りをして白身があまった時に作るチャンス到来な菓子だよね?
いつか、自家製クレミアを作ってみたいな。

fujiyaheigoro.com

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 持ち方、卵をそっと持つように!じゃなきゃ、パリっと割れちゃうわよ。

2016年の目標

さて、今年の目標は年間100冊を読む(2015年は69冊だった💦)
世界文学全集よりドフトエフスキーは、私自身の課題図書。
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」・「罪と罰」・「貧しき人々」の3作!

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罪と罰』を読まない
これ、昨年からの年またぎ本。(笑)
読み終わりたくない大切な1冊。誰にも教えたくないけど、写真に写っちゃってるから仕方ない。教えちゃう。捧腹絶倒、間違いなし。三浦しをんさん、妄想女王が暴走中で私まで一緒に読書会参加してる気分。ここから出たくないよ~。終わりたくない。
そんな、珍しく虜本。

 

読書記録を中心に、はてなブログの更新も忘れずに心を穏やかに自分に向き合う時間を持ちたいな。
あ、物づくりも・・・

皆さま、本年もどうぞ宜しくお願いします。