『まにまに』西加奈子著 読了
6年分のエッセイ
『まにまに』西加奈子著
この作品は、2009年4月から6年分のエッセイが
「第1章 日々のこと」「第2章 音楽のこと」「第3章 本のこと」
の、三部構成で綴られている。
この構成、結構いい!最初に、夢中にニシカナのプライベートな思考をむさぼり尽くし笑い転げ、途中で知らない系の音楽に少し頭があさってに向かい、最後にペンとノートを用意して新大陸発見!なごとくオススメの本をチェックする。
いやあ、堪能した。
日々のこと
「日々のこと」は、2009年からの2015年でニシカナの生態系を垣間見ることができ、彼女の小説を何作か読んでいる読者であれば、納得の私生活である。
エコに見えた女性と個室二つのトイレで遭遇したニシカナは、そこに音姫を探すが・・・
ない、ない、ない。
用便の音を消すために水を使うのは地球によろしくないから、流水音を真似た音を流すことによって水を守る音姫が、なかったのだ。
しかし、エココンシャスで綺麗で優しいあの女(と勝手にニシカナが思い込んだ女性)がいるのだからと決心して、音消しの水を流さずして、用を足す・・・
それが、エコなんだ!
私の「音」は、「地球さん、ありがとう」「これからもよろしくね」の、メッセージだ!
と微笑みながら用を足し・・・清々しく個室を出た。
例の女性は、少し会釈をして、後から個室に入り、どことなく自分を誉めてくれているような、優しい目をしていた。と、感じているニシカナに我慢できず爆笑する私。
すると、ジャーッという「本当」の流水音に、からからからからからから!と、ものすごい量のトイレットペーパーをむしる音、再びジャーッ!
洗面所での女は、じょぼじょぼじょぼーと水を流してペーパータオルーをがががががっと取って、また会釈して出て行った。
ニシカナが勝手に予想をしてふみにじられ、落ち込むさまがこれでもか!と描かれていて笑えるのだ。
しまいには、
「彼らは何も悪くない。私の、拭いがたい偏見がいけないのだ。」と締めくくる。
ありがとう!ニシカナ!
日々のことだけで、かなりボリューミーな作品になってるエッセイだが、三部仕立てでは、ここだけでもお腹いっぱいで上出来だ。
音楽のこと
ごめんなさい・・・
私、ニシカナとは音楽の趣味が全く合わないという事を気づかされて流し読みしたわ。
youtubeで検索して聴いてみると、知らない楽曲で「ふむふむ」と体が揺れ始めるのだが、あえてハマって聴こうという気はおこらなかった。残念。
そこにあったのは・・・
ブラックミュージック系だった。
きっと、好きな人にはたまらない第2部だろう。
本のこと
さあ、期待するのは作家が紹介する「本のこと」だ。
もう、メモ帳用意して読みたい本チェックしまくったよ。
私が読むリストしたのはこちら
『しろいろの街の、その骨の体温の』村田沙耶香著