『羊と鋼の森』宮下奈都著 読了
本屋大賞ノミネート8作目
手にした人の魂を揺さぶる宝本があるとしたら・・・と教師が問うと
一斉に手を挙げて「羊です!」と次々に発言する生徒が教壇から見えてきそうな読了後だった。
『羊と鋼の森』宮下奈都著を五感で堪能しゆっくりと味わって読了した。
内容紹介
ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を暖かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
Amazon内容紹介より引用
進学就職お祝い本
本を閉じて、ひらめいた。キラリ☆
これはもしかして未来ある若者へ送る一冊のお祝い本か?
高校の体育館でピアノを調律する板鳥さんの音に出会った外村青年。
彼の人生は、そんな出会いによって道先案内されて進んでいく。
調律師となった彼が次に出会ったのは双子の姉妹の和音のピアノだった。
そこから、彼の調律師としての「なりたい姿」が見え始めてきた。
3人の調律師との出会いから、自らの行く道を見つけて行く、成長の物語である。
「人と会う」ことは人生において宝なんだと、ありふれた当たり前のような綺麗ごとを
これでもかっ!と、たをやかに締めくくっている。
文字から流れるメロディー
小説の醍醐味というのは、疑似体験を自由きままに可能とするところにある。
紙の上の文字が音を鳴らし、風を吹かせ森を駆け巡り、心を急がせる誰かの悪意や失意に追われ、自宅のリビングから森へとコンサート会場へと瞬間移動する。
残念な事に、時々そんな小説とは裏腹に、狙っていはいても説明書きもしくは作文程度の文章に出会うと、私のブログみたいだな~と、つまらなくなってしまうのだ。アハハ
ところが、この「羊・・・」は、文字が動き出し命を孕み、読者を旋律に乗せて深い森のマイナスイオンへと運んでくれるから心の洗濯にはもってこいな洗濯本に決定だ!
イマイチな本を読んで、くたびれたな~って思った時こそ、羊をおススメする。
本屋大賞的にはどの位置?
さて、もうすぐ本屋大賞発表だわ・・・
この『羊と鋼の森』は、10作品中のどのあたり?と毎年恒例の予想をしてみた。
あっ、『流』と『王とサーカス』といった後光がさす有力本を未読で控えているので正しい予想は出来ないので8作中でやってみよう~。
う~ん、難しいぞ。
なんてったって、本屋大賞は、書店員が読んで欲しい、売りたい作品なんだから・・・
Facebookの本が好き!倶楽部では、この羊を手元に置いておきたい!とすでに、宝本的祭りばやしが聞こえてる作品なんだが・・・
私の勝手な判定は・・・
堂々の4位で!
ごめんなさい・・・私、ちょっと洗濯本に色々とあれもこれもって注文つけたくって。
最初の疾走感が後半まで続かないといった、ペース配分の間違いみたいなものを感じてしまったのよ。
ネタバレになるかもだけど、和音のピアノが私まで届かなかったの。それが残念。
いまんとこ、中脇初枝さんの作品がイチオシかも。コッソリ・・・
バイエルって素敵なのね
ピアノを習っていた子ども時代を思い出し、この作中にあったバイエルをもう一度ひいてみたいな~って、そこばっかり。(笑)
それから、タイトルが秀逸だね!
読む前に、なんで「羊」?そして「鋼」?で、「森」なんだろうか?
そんな謎解きの楽しみを表紙に持ち、読了後には、そのタイトルでしか成立しないぞ!と唸らせる。
宮下奈都さん、初読みだったけど好きな作家入り決定~♪
積んでるこれも読まなくちゃ💦
『誰かが足りない』