『アンマーとぼくら』有川浩 読了
『アンマーとぼくら』有川浩 P301
あらすじ
「アンマー」とは沖縄で「お母さん」のこと。
有川浩さんが、かりゆし58の名曲「アンマー」に着想を得たお話だとか。
沖縄を舞台に(一部北海道も)父と息子、そして父の再婚相手の「おかあさん」との家族の絆のお話。
ってか、お父さんって人がさあ、坂本克己ってんだけど本当に子どもなんだよ。
飛行機に乗れば、子どもを差し置いて窓際を陣取ってしまうし
大声あげてはしゃいじゃいけない場所で、もちろん大声あげちゃうし
何よりも、オジギソウの葉に触って閉じる様を観るのが大好き。
後ろから歩いてくる子どもを泣かせてまで、全てのオジギソウの葉を閉じてしまうのだから正真正銘の子どもって言ってもいいくらだ。
そんな父を見ていたせいか、冷静で場の空気を読むような子どもだった主人公の「リョウ」。
小4で母を亡くし、翌年には父親が再婚するっていう頭に血が上るようなジェットコースターに乗せられて物語が進む。
子どもな人
ここまで子どもな人を描ける有川さんって、「憎めないわね」って駄目な男を許してしまうタイプだったりする?
子どもな父親に隠された秘密ってところを丁寧に描くよりも、その「子どもっぷり」を前面に出してきたら途中までイライラしたのは確かだわ。
どことなく、私自身とも共通点があったので「憎めないわ」と私もチラッと思ったけどね。
この父親って、息子のためによかれと思ってやっていることが裏目に出てしまう。
頼って欲しい!と精一杯に頑張るんだけど、頼ってもらいたい息子には淋しい思いを抱かせてしまうんだよね。
みんな、よかれと思っているのにすれ違うことって人生あるあるだわ。
不思議な話
今回は社会派な作品でもなければ胸キュンものでもなくて、「絆」をテーマにした家族や友情や土地の話かな~。
読了後、なんだそれ!ってボーっとしちゃったけど、有川さんが描きたかった「よかれと思って」の部分だけはしっかりと私の胸に残っていた。
金ちゃん
登場人物で「リョウ」の友人の金ちゃんが実にいいんだよ。
リョウと金ちゃんの友情に涙しちゃったわ。
北海道土産の激マズなジンギスカンキャラメル、ちょっと食べてみたくなったわ。
「過去は変わらない。変えられるのは今だけだ。」
よかれと思って、大切な人が子ども染みた態度で空回りしてるのを見たことがあるかな?
私の場合、自分がそうなってしまっている時が多々ある。💦
そんな時に冷めた態度や言葉がどれほど相手を傷つけるのかを知ってほしい。
きっと、うんざりした気持ちに嘘はつけないだろうけど・・・
今、この一瞬が戻れない過去になってしまうかもしれない。
でも、それも人生。確かに正しく歩いていくことなんてできやしない。
帯には「これは、現時点での最高傑作です。」有川浩 とある。
いや、最高傑作は他にあった気がするけど・・・💦
それにしても装幀が素敵!
コバルトブルーな沖縄の海の表紙をめくると、沖縄風の絵柄が登場する!
これには唸りました。
昔、こんな柄の振袖が流行したっけ!懐かしい~。(たぶん27年前)